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チーフデジタルアーティストに訊く、キャリアの転機と壁を乗り越えるためのマインドセット【メンバーインタビュー】#Dカラ_015

こんにちは、株式会社D・A・G公式note『D.COLORS』編集部です。

D・A・Gをカタチづくる人を紹介するコーナー『D.PEOPLE』
今回登場するのは、東京本社でソーシャルゲームプロジェクトをリードする小宮山 尚平。仕事での転機や壁を乗り越えるためのマインドについてインタビューしました。

小宮山 尚平| Shohei Komiyama 株式会社D・A・G Chief Digital Artist

東京都出身。東京ゲームデザイナー学院を経て、2012年D・A・G にジェネラリストとして入社。ソーシャルゲームプロジェクトでエフェクト制作を長く担当し、現在はプロジェクト全体を統括する。メンバーからは「視野が広く、細かいことにもよく気がついてくれる」、「デザイナーのコンディションをよく見ている」という声が上がる。
休日はスキーやサウナ、フェス参戦、執行役員とともにバスケットボールをプレイするなど多趣味な一面を持つ。


ー おつかれさまです!今日はありがとうございます!
まず、小宮山さんの現在の業務内容をお伺いできますでしょうか。

小宮山:おつかれさまです、よろしくお願いします。
現在はソーシャルゲームプロジェクトでエフェクトのディレクションと、ディレクターから引き継いでプロジェクト全体の統括を担当しています。


ー D・A・G のなかでも、特に長いプロジェクトですよね。
どんなプロジェクトなのか、改めて詳しく教えていただけますでしょうか。

小宮山:世界的に人気のある漫画をベースにしたソーシャルゲームです。漫画の原作者の先生が監修に入られていて、漫画が連載されていた当時の雰囲気を大事にしながら3DCGで表現している点が特徴ですね。D・A・Gでは、リリースからずっとアニメーションとエフェクトの制作を担当しています。


ー 世界的に人気のある漫画を題材にされているゲームならではのこだわりや、意識しているポイントはありますか?

小宮山:言わずもがなですが、「原作の世界観を壊さない」ということはとても意識しています。このゲームのコンセプトの軸に「ちょっとファミコンっぽいテイスト」というものがあるのですが、必殺技でも現実ではありえないようなド派手なエフェクトというよりも、アナログっぽい表現にするなど手触り感を大切にしています。クライアントとの打ち合わせで「漫画のあのシーン、いいですよね」と話題に上がることも多いので、原作は何度も読み返していますね。

一方で、ソーシャルゲームはどんどんアップデートがありますし、季節のイベントやアプリのリリース記念に合わせてアニバーサリーイベントがあります。原作の世界観や雰囲気を大切にしつつ、新たなアイディアや着想を得て3DCGで表現していくところが、このプロジェクトのやりがいであり、D・A・Gの腕の見せどころだと思ってます。


ー このプロジェクトでの印象的なエピソードを教えていただけますでしょうか。

小宮山:プロジェクトがスタートしたときのことは特に印象に残っています。このプロジェクトはUnityで制作しているのですが、スタートしたときUnityを使用したことがほとんどなかったんです。なので、実作業も手探り、検証も手探り…といった状況で。制作フローを試行錯誤するなかでクオリティに関してもなかなかOKが出ない…といった時期もありました。今思い返すと、この時期は本当に大変でしたね。

それから、クライアントとも何度も認識をすり合わせ、こつこつと僕たちが出来ることを増やしていくなかで、ある時期から「今回のイベントの必殺技は…イメージはこんなかんじで、あとはD・A・G さんにお任せでお願いしたいです」とご依頼いただけたときは嬉しかったですね。


ー 大きな壁を乗り越えて、どのようにしてクライアントと信頼関係を築かれたのでしょうか?

小宮山:ゲームのコンセプトやクライアントの意向に「全力で向き合う姿勢」を評価していただけたのかなと思っています。クオリティに妥協せず、ユーザー視点の提案やアイディア出しを積極的に行うなど、コンセプトへ真摯に向き合う姿勢がチーム全体に浸透しているので、その点が信頼につながったのかなと。
その信頼に応えなければ、というプレッシャーもあるなかで「どうすればクライアントやユーザーにかっこいいと思ってもらえるか?」とみんなで毎回必死に考えています。そうして提案したものを「いいですね!」と褒めていただけるのは本当に嬉しいです。ユーザーさんの「今回のイベント、必殺技がよかった!」、「漫画っぽい動きがいい」といった反応をSNSで見ると、次はもっとかっこいいもの作るぞ、という活力が湧いてきますね。作ったものに対しての反響をいただけた経験は、クリエイターにとって忘れられない、とても大切な経験になっていると思います。



ー小宮山さんご自身のこともお伺いさせてください。
ゲーム・CG業界を目指されたきっかけについて教えていただけますでしょうか。

小宮山:小さいころからアニメや漫画が好きだったんですが、性格的に少し天邪鬼なところがあって「みんなが観ていないものを観たい」という気持ちがありました。それで、CS放送やスカパー!チャンネルで流れていた昭和のアニメの再放送などをよく観ていたのですが、そのころ観ていた作品たちが結果的にいまのプロジェクトで生きているなと思うことも多いです。

アニメやゲームなどのエンタメにワクワクして、勇気づけられることがなんどもあったので、自分の手でも誰かを元気づけられる作品を生み出したいと思いクリエイティブ業界を志しました。専門学校の先輩がD・A・Gに入社されていて、先輩から「多様なクリエイターが活躍していて、幅広いエンタメ作品を作っている会社だよ」と聞いていたこともあり、D・A・Gに興味を持って応募しました。



ー若手時代のエピソードについて教えてください。

小宮山:専門学校ではゲーム制作全般のことを幅広く学んでいて、DCCツールの操作に長けていたわけではなかったので、入社後に本格的にMayaを勉強しました。最初は本当に頭がパンクしそうで…、作業のペース配分が上手くいかなかったり、自分で満足のいくクオリティのモデルを作れなかったりしていたので、落ち込むこともたくさんありました。ジェネラリストはとても幅広い作業を担当するので、ひとつのプロジェクトをやり終えたと思っても、次のプロジェクトでは全く新しい手法で制作することもあって、同じやり方では上手くいかないこともありました。入社してしばらくはもがいていることが多かった気がします。


ー そうだったのですね…。そこからどのように気持ちを切り替えていかれたのでしょうか。

小宮山:そこは「日々真面目に仕事をしていくしかないな」と思っていました。僕は壮大な夢とか目標を明確にすると、それを意識しすぎて上手くいかなくなるタイプなので、「目の前のことひとつひとつに真摯に取り組んでいれば、必ずいい結果に繋がっていくはずだ」と思って、日々目の前の業務にひたすら真剣に向き合っていました。


ー 流れが大きく変わった転機は何だったのでしょう?

小宮山:今のプロジェクトにアサインしていただいたことです。元々ジェネラリストとしての入社でしたが、このプロジェクトからエフェクト制作をメインに担当させていただくことになりました。それまでは、自分の強みってなんだろう、得意なものってなんだろう…と考えていましたが、エフェクト制作に注力することで手ごたえを感じることができ、自分が前進できた感覚がありました。自分自身の得意なものを明確に実感することができて、制作にもより一層力が入って、クライアントからポジティブな評価をいただくこともこのころから大きく増えた気がしています。

それと、プロジェクトが進んでいくなかで「小宮山くんは視野が広いし、細かいことにもよく気づいてくれるから」と全体のディレクションを担当させていただけるようになったことも、自分のなかでは大きなターニングポイントでした。当時は自分がプロジェクトをリードするなんて想像もしていなくて…、最初は不安もありましたが、ディレクターにたくさん相談しながらたくさん失敗もして、少しずつ成功体験を積み重ねていけたことは、今の自分自身を形づくる転機になったと思います。



― 仕事をするうえで意識していること、大切にされていることはありますか。

小宮山:プロのクリエイターとして大切にしていることは、クライアントの意向を咀嚼して、プロジェクトの方針に沿った制作物を高いクオリティで作ることです。いまのプロジェクトは原作漫画という絶対的なコンセプトがあるので、そこに忠実に、原作のファンの方にも楽しんでいただけるように、というのは常に意識しています。

また、基本的なことですが『どんなことにも確認を怠らない』ということは身体に染み込んでますね。これは、今のプロジェクトにアサインしていただいたディレクターの教えなのですが、どんな業務においても、どの作業過程においても確認を怠らないということは重要だと感じています。

あとは、「伝え方」も意識しています。新しいメンバーがプロジェクトにアサインされることもあるので、いち早くプロジェクトに馴染んでもらえるように、小さな疑問でも聞いてもらえるように、なるべく密にコミュニケーションを取るようにしていて。時には、若いメンバーに対して制作する上での心構えなどを伝えたり、業務上のミスには注意したりしなければならないときもありますが、そんなときも頭ごなしに伝えるのではなく、まず相手の話を聞いて、話す場所やタイミングを選ぶなど、少しでも前を向いてもらえるようなコミュニケーションを心がけています。



―小宮山さんからご覧になって、D・A・Gならではのユニークな点をひとつ挙げるとしたら、どんなことでしょうか。

小宮山:「真面目に取り組んでいる姿をきちんと見ていてくれるところ」だと思います。D・A・G では日々のちょっとした積み重ねや、自分なりに考えて工夫していることにみんな気づいてくれて「ありがとう!」や「助かった」とリアクションをもらえるのですが、これは当たり前のことじゃないと思っていて。目の前の課題に向き合った結果、それが会社やプロジェクトの成長に繋がっていれば、きちんと評価もしていただけます。

あとは、やっぱり「優しい人が多い」ですね。D・A・G は離職率が低いこともあって「みんな仲がいい」ということもよく耳にしますし、実際とても雰囲気のいい会社なんですが、僕個人的には「優しい」という表現がより近い気がします。優しさにもいろいろありますが、メンバーみんなお互いを尊重していて、個々人のペースや価値観を大事にしていますよね。上下関係なくメンバー同士にリスペクトがある、そういった環境に身をおいてお互いに切磋琢磨していけるのは、まさにD・A・G の強みだと思います。…すみません、ふたつ挙げてしまいました(笑)。



―現在、就活中の方にメッセージを送るとしたら、どんなメッセージを送りますか?

小宮山:「自分らしさ」を大切にしてほしいです。若手時代のエピソードと重複しますが、僕自身いざ業界に入ってみると、すごい人たちがたくさんいて…刺激を受けて力んでしまい、空回りしてしまうことも多かったんですよね。そのときに自分らしくないことをやってもうまくいかないんだな、と痛感しました。
どんなクリエイターになるか、どんな強みや個性を磨いていくかは、結局は自分で見つけていくしかありません。前に進んでいれば壁は次々に現れるものですが、目の前の課題に真摯に向き合っていれば必ず道は開けますし、見ていてくれる人が必ずいます。どんな状況でも下を向かずにトライを続けてほしいなと思います。


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