”最大限のクオリティのために、自分の全てをぶつける” チーフアニメーターが語る、ものづくりへの覚悟【メンバーインタビュー】#Dカラ_017
こんにちは、株式会社D・A・G公式note『D.COLORS』編集部です。
D・A・Gをカタチづくる人を紹介するコーナー『D.PEOPLE』。
今回登場するのは、東京本社でチーフアニメーターとして活躍する橋本 諒介。執行役員が「今、社内でいちばん勢いのあるアニメーター」と太鼓判を押すメンバーに、D・A・Gで過ごした日々や、ものづくりに対する想いについて聞きました。
ー今日はありがとうございます!
改めて、橋本さんの現在の業務内容とご経歴について教えてください。
橋本:おつかれさまです、よろしくお願いします!
日本電子専門学校を卒業後、2015年にD・A・Gへ新卒で入社しました。現在はモーション制作部に所属し、チーフアニメーターとして主にコンシューマータイトルのカットシーン制作、アクションシーンのレイアウトやインゲームモーション制作、制作物のクオリティチェックなどを担当しています。
ーCGの道を選んだきっかけはどんなものだったのでしょうか?
橋本:高校時代、友人に勧められた『Demon's Souls』というゲームに夢中になって、平日でも5~6時間やり込むくらいハマっていました。プレイしながら「CGすごいな。これ、どうやって作られているんだろ?」と考えたことがCGの道に進んだきっかけです。父親からも「好きな道に進んだらいい」と後押ししてもらい、高校卒業後は日本電子専門学校に進学しました。
CGのなかでもモーションを選んだ理由は、いちばん心が動いたからです。ゲームをプレイしていて「この動きかっこいいな」とモーションに惹かれることが多くて。学生時代はCG制作について幅広く学んでいましたが、モーションを作っていると時間を忘れるくらい楽しかったので「やっぱりこれだな、モーションだな」と考えていました。
ーD・A・Gへの入社の経緯について教えてください。
D・A・Gに入社したのは、面接のときにモーション専任チームの構想を聞いたことが決め手でした。極めたいと思っていたモーションの専門性を追求できる環境が整いつつあり、そこに初期チームメンバーとして道を切り開いていく経験ができることに心惹かれました。
また、D・A・Gの制作実績を見るとジャンル問わず様々なテイストの作品が掲載されていて、ここならアニメーターとしていろんな経験を積めそうだと感じたことも入社を決めた大きな理由のひとつですね。
ーこれまでD・A・Gで過ごしてきたなかで、いちばん刺激を受けた経験について教えてください。
橋本:世界的に人気のあるRPGゲームシリーズに年単位で携われたことがとても刺激になりました。最初は、上長がある程度作成したレイアウトの微調整からスタートしましたが、少しずつ任せてもらえる作業が増え、幅広い経験を積むことが出来ました。このプロジェクトのなかでゲームエンジンなどモーション以外の技術についても学ぶ機会があり、経験値が一段上がったと感じました。
クライアントであるパブリッシャーへの出向なども経験し、D・A・Gとはまた違った考えに基づいたものづくりに携わることができ、大きく視野が広がりました。
ーそのシリーズならではのこだわりなどは制作過程で感じましたか。
橋本:ものすごく感じました。僕はいくつかのナンバリングタイトルに携わったのですが、そもそも画作りから全然違うんです。例えば、ほかの作品だとモーションキャプチャーデータをそのまま使用したような動きで、カットによっては悪目立ちするようなところもあるのですが、このプロジェクトではそういったことが全く無いんです。一瞬のカットでも絶対に手を抜かない。こんな細かいところまで見るのか、とクオリティへの並々ならぬこだわりにハッとさせられました。
徹底的にこだわる分、仕様の変更や調整も多くなります。最初のうちは大量のチェックバックに凹んだこともありましたが、出来上がったシーンを見るとびっくりするくらいかっこよくて。違和感がないモーションを作り上げるためには、ここまでのきめ細かい調整が必要、と肌で学ぶことができたのは、アニメーターとしてのターニングポイントだったと思います。
ー プロジェクトのなかで、特に印象的なエピソードを教えてください。
橋本:そうですね、ひとつ挙げるとすれば…、とあるシーンのレイアウト制作は印象に残っています。
「ここはダイナミックな感じで、カメラの切り替えをたくさん使う方向性でいこう」とプロジェクトメンバーと話していたんですが、初稿のチェックで演出監督から「もっと実写っぽく、人間がカメラを回して撮影しているような画にしたい。カット割りを減らしてほしい」と、真逆の角度からのフィードバックをいただいたんです。
大急ぎでディレクターと今回のシリーズの方向性やコンセプトを再確認し、演出監督の方針である「リアルさ」に振り切り、実写映画に近いカメラで、レンズも実際の焦点距離を用いたレイアウトを制作しました。いま振り返っても、締切が迫るなかで修正に取り組んだあの一週間は、めちゃくちゃ集中していて…ゾーンに入っていたなと思います(笑)。
チェックバックを待つ間は緊張しましたが、一発OKをいただけたのはホッとしましたし、痺れましたね。
ーここからは、橋本さんの価値観についてお伺いします。
さまざまな経験をされた今、クリエイターとしての心構えや意識していることを教えてください。
橋本:クリエイターとして常々意識しているのは『コンテンツを観てくれている人の時間を奪っていることを忘れないこと』です。
これは好きなアーティストのMVを作っている映像クリエイターからの受け売りなんですけど、世の中に無数のコンテンツが溢れるなかでこの作品を手に取ってもらえる、時間を割いて観てもらえる、ってすごいことだと気づかされて。
その言葉に出会ってから、僕が担当するからには、観た人の心に少しでも何かを残せるように、どんな条件下でもその時の自分の持っているものを出し尽くして、最大限のクオリティまで引き上げてやると思ってものづくりをしています。
ー橋本さんの”ものづくり” への熱量の高さは、その想いが源泉にあるのですね。実際にモーション制作やレイアウトを考えていくうえでは、どんなことを意識しているのでしょうか。
橋本:そうですね…カットシーンの制作だと「このシーンのなかで重要なものはどれか」をまず考え、それを引き立たせるように構成を練ることを意識しています。極端に言うと、見せ場や重要なシーンを際立たせるために、映えない地味なカットをあえて指し込んでヌキをつくる、みたいな感じです。このバランスが難しいんですが、バチッとハマったときの達成感はたまらないですね。
この考え方は、入社3年目のときにディレクターからチェックバックで教えてもらいました。正直、それまでは「いや、全部大事なんだから、全部しっかり見せればいいじゃん」と思っていたんです。ただ、フィードバックを受けて修正してみると段違いにかっこよくなって「あ、なるほど、こういうことか!」と、そこから少しずつ感覚を掴んでいきました。
ー「ここを見せ場にしよう」というポイントは、どうやって見つけているのでしょうか?
橋本:絵コンテから考えるときは、絵コンテとじっくり向き合います。「なんかこのコマ、ほかと比べて描き込んであるな…きっとしっかり見せたいんだな」という気づきから全体の流れを考えていきます。
自分の頭のなかで多角的にシミュレーションしてみて決めることもありますね。どのモーションを強調すれば躍動感が出るか、空間をどう使えば印象的になるか、今回のプロジェクトやシーンのコンセプトを最大限表現できるか、といろんな方向から検討して「ここだ」と決めることもあります。
モデルや空間を自由に動かすことで見せ場をより魅力的に表現して、観ている人をその世界に引き込むことができるのが、アニメーターならではの面白さですね。
ーこれからチャレンジしてみたいと思っていることはありますか?
橋本:「完全手付けのダンスシーン」に挑戦してみたいです。工数もコストもすごくかかってしまうので、なかなか難しいかもしれませんが…。
上長との雑談や面談で「完全手付けアニメーションのプロジェクト、ありませんか? あったら是非やりたいです!」としつこくアピールしていたら、その噂を聞いた先輩から「有志で手付けアニメーション制作をしているんだけど、よかったら一緒にやらない?」とお誘いいただいて、現在も制作中です。
この自主制作は、信頼しているメンバーから的確なフィードバックをもらえますし、みんなでアイディアを出し合ってものづくりができるので、モチベーション向上の刺激になっています。同じ会社で、こうして同じ思いを持つ仲間を出会えるってありがたいなと思っていて、奇跡に近いと感じます。
また、自主制作をSNSで発表することもあります。先日はそれをきっかけに外部のセミナーに招待いただいてフェイシャルアニメーションについて登壇しました。
ーセミナー拝見しました! アニメーションの考え方や着目ポイント、未経験の私にもとても分かりやすかったです!
橋本:ありがとうございます! 個人的にもすごくいい経験になったんですよね。オンラインセミナーはどうしても一方通行になってしまう部分があるので、自分で無意識にやっている作業を「なぜこうするのか」についてより分かりやすく伝わるように試行錯誤して臨みました。
セミナー当日は200名以上の方がオンラインで視聴してくださったようで、運営の方からも「すごく評判よかったですよ!」と言ってもらえてとても嬉しかったです!
ー社内外で活躍されている橋本さんからみて、D・A・Gの魅力は何だと思いますか?
橋本:さっきも少し話しましたが、希望や意欲を伝えやすくて、周りが目標を応援してくれる雰囲気があるところです。成長できるチャンスが多い会社だと思いますね。ディレクターやプロデューサー陣からも若手にどんどん挑戦してもらいたい、という想いを感じています。
あとは、ありきたりな答えになっちゃうんですが…居心地がいいところです。こういうインタビューって、わりと同じようなコメントになっちゃう印象があるんでいろいろ考えたんですが、本当に居心地がいいです(笑)。みんな優しくて穏やかで困ったときは必ず助けてくれますし、自分らしくリラックスして毎日過ごせています。
僕が所属するモーション制作部はいくつかのチームで構成されているんですが、活力があってエネルギッシュなアニメーターが多く在籍しています。若手のメンバーも自分の意見をしっかり持っているので、年次とか経歴とか関係なくフラットに意見交換ができる、いいチームだなと思っています。
ー最後に、CG業界を目指している方にメッセージをお願いします!
橋本:これもありきたりな答えになってしまいますが…、好きなことを見つけて、それを追求してほしいです。僕自身がそうだったんですけど、好きなことが一番成長できるし、むしろ好きなことじゃないと伸びないと思っていて。インプットしても興味がないと自分のものにできる量が違うと思いますし、「もっと上手くなりたい、技術を磨きたい」と貪欲に思えないんじゃないかと。
アニメーターはCG業界のなかでは比較的人数が少ないですが、「アニメーターなら食いっぱぐれることないしな~」みたいな後ろ向きな理由ではなく、モーション制作を突き詰めたい、という心を持っている人と一緒にかっこいい画を作っていきたいですね。ポートフォリオや面接では魂を込めて、自分の全てをぶつけてきてほしいです。
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